京さんはハワイが好きで毎年のように訪問した。

「私も4~5回、ご一緒しましたが、シャワーツリーの花が好きで、『空気と風がいい』と言っていましたね。昔からの友人がいっぱいいて」

 ホノルル郊外に墓もあり、やがて納骨するそうだ。

「ワンタン、と今でも京さんから呼びかけられているようです。私が思う以上に、京さんは私のことを思ってくれた。生涯のかけがえのない日々をいただいた」

■佐々木すみ江 「動けるうちは仕事を」突然の幕に遺作4作も

 90歳になっても先々の仕事の話があった。でも突然、人生の幕は下りる。女優佐々木すみ江さんは2月17日、自宅で倒れ、救急車で病院に搬送されたが、帰らぬ人となった。

 今秋公開予定の映画「惡の華」などが遺作となった。井口昇監督は昨年11月の群馬県桐生市でのロケを振り返った。

「佐々木さんはにこやかで、肌艶も良く、お悪そうなところはなさそうで予定どおり撮影が終了しました」

 佐々木さんの役どころはヒロインの祖母で孫の友達を明るくもてなす役。

「この作品には、“大人”が出てくるシーンが少ない。だからこそお芝居のしっかりした女優さんに出てもらいたかった」(井口監督)

 所属事務所アルファエージェンシーのマネジャー齊藤真純さんは言う。

「佐々木さんは携帯電話、メールの打ち返しも速く、スマートフォンの普及とともにスマホに変え、メールも動画も駆使するほど時代の流れに敏感で、新しいものに目を向けていました」

 最後の映画のロケ地は広島県呉市。こちらは2020年公開予定の映画「記憶屋」。亡くなる1カ月前の1月18日だった。このとき、台本4ページもの長いセリフを完璧に覚えていたという。

 健康にはとても気を使っていたという。

「健康食品をまめにチェックしていたし、テレビの健康番組も大好きでした」

 中でも、手作りの「レモン酢」は常備していた。

「きれいに洗ったレモンを輪切りにして、氷砂糖とお酢を耐熱ガラス瓶に入れ、電子レンジで温めてから、常温で氷砂糖が溶けていたらできあがり。水や炭酸水などで割るのですが、私も飲んでいます。ある日、テレビの情報番組を見てすぐ、『レモン酢に使うお酢はリンゴ酢のほうが体にいいみたいよ』と電話で教えてくれたこともあります」

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