調査対象に日本の塩は含まれていないが、気になる結果だ。

 水も安心できない。

 米ニューヨーク州立大学が国際ブランドのペットボトル水259本を調べたところ、93%に混入していたという。

 日本人が口にする食品の多くにも含まれているのではないか? 本誌も独自調査を実施した。

 東京都内のスーパーで千葉県産のイワシ、石川県産のアジ、本県産のアサリ、新潟県産の海塩を購入。専門の調査機関に持ち込んでみた。

 検査は魚の内臓と塩10グラムをそれぞれ洗浄した後にフィルターでろ過。するとプラスチック類と推察される微小な物質がいくつか残った。果たしてMPなのだろうか。

 だが、一つひとつを顕微鏡で詳しく観察すると、いずれも違った。魚介の骨やうろこ、貝類の殻、あるいは鳥の羽毛などで、エサとして食べたものだった。

 今回の調査では含まれていなかったが、実はヒトの体にすでに混入しているとの報告はある。

 昨年10月、オーストリア環境庁とウィーン医科大学が日本人や英国人など8カ国の成人男女の大便を調べた。すると、全員の便から検出されたのだ。平均すると10グラム当たり20個のプラスチック片。大きさは0.05ミリから0.5ミリだった。

 また、カナダのビクトリア大学の研究者らは6月、人が食品と呼吸から取り込むMPは、年間最大12万1千個に上るとの調査結果を発表している。体に取り込まれていたとなると、気になるのは健康への影響だ。高田氏は、プラスチックの毒性をこう指摘する。

「100種類以上の有害化学物質が含まれています。ペットボトルのふたに添加剤として使われるノニルフェノールは環境ホルモンの一種で、乳がん細胞の異常増殖を引き起こすことが知られている。また、成人男子の精子数が減少傾向にある原因の一つとして、プラスチックの添加剤に由来する環境ホルモンが疑われています」

 さらに、海洋中に漂う有害化学物質がMPに付着することで、リスクが倍増する。

「海水には、低濃度のPCBや農薬に使われるDDTなどが含まれている場合があります。これらは油に溶けやすい性質のため、石油からできたプラスチックにどんどん吸着して濃縮します。こうなるとMPは汚染物質の運び屋です。生物が体内にプラスチックを取り込むと消化液に有害な化学物質が溶け出し、肝臓や脂肪にたまり続けます。メダカに汚染されたプラスチックを食べさせたところ、肝臓に腫瘍(しゅよう)ができたとの報告もあります」

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