まず元カレが向井理。同じ職場に向井理。イヤ~な上司(ユースケ・サンタマリアの嫌さがリアルすぎてしんどい)に仕事を強要されても、向井理が囁いてくれる「無理すんなよ」。ちょっと居残ってれば向井理がやって来て「俺がやっておく。もう帰れ」。

 ある? そんなサービス付いてる職場ある?

 で、家に帰れば婚約者(中丸雄一)が登場。だいたい毎日定時に帰って晩ご飯を作ってくれる。ただし棒読み(演技が)。

「ユイチャン、カルボナーラデイイ?」って、疲れたあなたの目の前にカルボナーラが出てきたら、もういい。もう許す。ありがとう。棒読み。

 現実には、職場でやさしくあなたを見つめる元カレもいなけりゃ、棒読みカルボナーラも出てこねえし、毎夜ビールと小籠包詰め込んでたらウエストはち切れるし、先輩は優しくないし、後輩は使えないし、たぶんユースケ・サンタマリア上司だけは実在する。

 それでもズル休みしていいし、定時で帰ってもいいと説いてくれたドラマ。もしかして続編が決まった「半沢直樹」(TBS系)も、今度は定時で帰るかも。

週刊朝日  2019年6月28日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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