『妻のトリセツ』を脱・積ん読! 作家・黒川博行が手に取った事情 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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『妻のトリセツ』を脱・積ん読! 作家・黒川博行が手に取った事情

連載「出たとこ勝負」

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黒川博行週刊朝日#黒川博行
黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する (写真=朝日新聞社)

黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する (写真=朝日新聞社)

※画像はイメージです (Getty Images)

※画像はイメージです (Getty Images)

 ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』。今回は「積ん読『トリセツ』やっぱり読もう」。

*  *  *
 晩飯のあと、いつものようにテレビの前で横になり、リモコンをがちゃがちゃしていると、キングコングの映画をやっていた。コングが軍用ヘリを叩き落として大暴れしている。

 これ、見たことあるな──。そう思った。『キングコング』の続編の『キングコング なんとか島のなんとか』だろう。タイトルは忘れたが、ゴリラふうではないボノボふうのコングを憶えている。そのままぼんやり見ていたが、すぐに眠ってしまった。──ちなみに、わたしは年間百五十本から二百本の映画を見る。映画館で十数本、あとはレンタルDVDだが、おもしろいと思うものは五作に一作ほどしかなく、そのほかは早送りで見るか、もっとつまらないものは途中でやめる──。

 そうして十日、月刊誌の連作短編をやっと書き終えて、ほんの少し暇になったわたしはレンタルビデオショップに行った。五本で千円。新作を四本選んだが、あとの一本が決まらない。そのとき、フッと思い出したのが『キングコング なんとか島』だった。わたしは旧作コーナーへ行き、DVDを借りて帰った。

 晩飯のあと、いつものようにテレビの前で横になり、DVDを見ていると、よめはんがそばに来た。

「キングコングやんか」

「こないだ、テレビでやってたんを見損ねたから借りてきた。その前にもDVDで見たんやけどな」

「キングコングてかわいそうや。なにもわるいことしてへんのに捕まえられて見せ物にされて、高いビルに登って飛行機に撃たれるんやから」

「それは前作のキングコングやろ。このコングは強いから勝つんや」

 そういうと、よめはんは横に座って見はじめたが、三十分ほどして、

「これ、見たことあるわ。この気味のわるいトカゲ」

「DVDでか」

「ちがう。映画館で見た」

「誰と行ったんや」

「また忘れてるわ。行ったやんか、橿原のシネコン。わたしは嫌やったのに連れてかれたんやで」


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