日本陸連科学委員会の調べによると、17年の日本選手権でサニブラウンの100メートルの総歩数は44.3~44.6歩。ストライドは最高値で246センチにも達した。ボルトの283センチには及ばないが、桐生の233センチ、山県亮太(27)の230センチを上回っていた。今回の全米大学選手権の100メートルは43歩台で走っているので、ストライドがさらに広がっている計算だ。

 今秋の世界選手権(ドーハ)や来年の東京五輪に期待が膨らむ。これまでの世界選手権や五輪では、準決勝で9秒台を出せば必ず決勝に進んでいる。実現すれば、1932年ロサンゼルス五輪6位の吉岡隆徳以来の決勝進出となる。

 その前に、6月27日開幕の日本選手権(福岡)で“豪脚”を披露することになる。

 伊東氏はこう期待する。

「ほどよい精神状態なら予選からぽんぽん好記録を並べそう。むしろ10秒1台とかで走るほうが難しい。頭ひとつ抜け出した存在で、ほかの選手がどう追いかけるか楽しみ」

(朝日新聞スポーツ部・堀川貴弘)

週刊朝日  2019年6月28日号