穴あきお玉で水を切って、炒めたほうれん草の上にのせれば完成。これは、朝食のおかずにぴったりかもしれない。

「認知症予防には、ビタミンB群の一種である葉酸も役立つことが知られています。ですから卵を食べるときには、ほうれん草や小松菜、ブロッコリー、アスパラガスなどの緑黄色野菜も一緒に摂取することをおすすめします」

 そこでしじみはアスパラガスと一緒に中華蒸しに。

「アスパラガスはいまちょうど旬ですから、おいしいですよ。もちろんアスパラガスを他の緑黄色野菜と替えてもかまいません」

 管理栄養士の立場から、牧野さんは夕食を食べる時間はなるべく早めにしたほうがいいとアドバイスする。

「夜遅い時間の食事は太りやすいですし、生活習慣病の元にもなります。夕食はできれば夜9時くらいまでにすますことがベストです」

 もし夕食を食べるのが夜9時を過ぎる場合は、ごはんやパンなどの主食はなるべく控えめにし、野菜中心の食事にすること。

「認知症予防には、適正な体重を維持して、元気に活動できる体を守り続けていくことが大切です。無理して痩せる必要などはありませんが、『いまより太らない』、この意識を持ちながら、規則正しい食生活を送ってほしいと思います」

 また前出の広川医師は、認知症を遠ざけるためには夕食時に1日1パック以上の納豆をとることもすすめてくれた。

「納豆にはナットウキナーゼという成分が含まれています。ナットウキナーゼには血中の悪玉コレステロールを下げ、血管内で血栓ができるのを予防する働きがあります。全身の血管をすこやかに保っていけば、脳にも十分に血液と栄養が行き渡ります」

 ナットウキナーゼが力を発揮するのは、食後5時間前後と言われている。夜中の1時から5時ごろは血栓ができやすく、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすい時間帯。そこで夕食に納豆を食べて、脳の血管を守るのだ。

 認知症の予防は体が元気なうちから、少しずつ。できることから始めて、脳の老化の進行にストップをかけていこう。(ライフジャーナリスト・赤根千鶴子)

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