という言葉は、安倍首相はこれで参議院選にミソがつかないと安心。大統領再選を狙うトランプ大統領は、数カ月待てば、米国の支持者にこれだけ日本から多くのものを勝ち取ったと誇れるような、そんな約束が結べたってことだろう。んでもって、お互いが「ウィンウィン」。

 あたしたちが忘れちゃならないのは、この日米ウィンウィンに、米国の国民は入っているが、日本の国民は入っていないってことだ。日本国民からの搾取で成り立つウィンウィンである。

 納得できるわけがない。けれど、納得するもしないも、多くの人がなにも知らないのではないか。

 テレビで流れるのは、安倍首相とトランプ大統領の蜜月について。蜜月にはなるでしょ、お互いにウィンウィンの裏側があるんだし。

 ほんでもって、安倍政権はときどき思い出したように隣国の危険性を煽るから、大国のトランプさんと蜜月と聞けばそれで安心する人もいる。

週刊朝日  2019年6月21日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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