それに、10月の消費増税はおそらく実施することになるだろう。7月1日の日銀短観を見ないと、はっきりとは言い切れないが、私の予想では先延ばしになるほどの悪いデータは出ないのではないか。

 さらに、東京オリンピック後は、確実に経済が悪化すると、ほとんどのエコノミストが予測していて、安倍首相としては衆参選挙は、日米交渉前しか考えられないはずである。

 自民党の議員たちはもちろん、野党の議員たちも、すでにそのことを覚悟しているであろう。

 6月2日放送の「激論!クロスファイア」に出演した小沢一郎氏は、「今回の選挙が衆参同日選になることを覚悟すべきだ」と言い切り、「野党にとって、自民党と勝負すべき最後の機会になる」とも強調した。

 現在、立憲民主党が国民民主党などと全面的に組む、つまり野党一本化に完全には同意していない。

 それに対して小沢氏は「今回の選挙で立憲民主党が野党一本化に踏み切らなければ、立憲民主党も衰退することになる」と強調したのである。小沢氏の説明には説得力があった。

 それにしても、である。衆議院は2017年10月に選挙が行われて、まだ2年4カ月も任期が残っている。なぜ今、衆議院を解散しなければならないのか。安倍首相の手前勝手な計算だけで解散が行われていいのか。他の先進国ではありえないことである。なぜこの問題を、各紙も各テレビ局も厳しく糾明しないのだろうか。

週刊朝日  2019年6月21日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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