主人公のエリカ(聡子)を演じながら、浅田さんの中にも、彼女に共感できる部分があったのかもしれない。

「恋人ができたら、普段は料理なんかしないのに、料理好きを演じてみたりとか(笑)。怒っているうちに、感情がエスカレートして、何が本心かわからなくなったり……。結局、女は誰でも、役者になれる素質を持っているんだと思う。映画の中のエリカだって、犯罪に手を染めるようになったきっかけは、ちょっとしたボタンの掛け違いです。この映画には、女の中に潜む“毒”が描かれています。怖いけど面白い女の本性が。希林さんはよく、『世の中、いい人だけじゃ面白くない』って言ってましたけど(笑)、私が希林さんと仲良かったのも、お互いの中にある毒がわかっていたからだと思うんです」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2019年6月14日号