ピエール瀧(C)朝日新聞社
ピエール瀧(C)朝日新聞社

 コカインを使用したとして麻薬取締法違反の罪で起訴されていた元ミュージシャンのピエール瀧(52、本名・瀧正則)被告の初公判が5日、東京地裁で開かれた。瀧被告は起訴内容を認め、検察側は懲役1年6カ月を求刑した。

 21席の一般傍聴席を求めて、1200人以上が列をなした注目の裁判。瀧被告は、黒いスーツにネクタイ姿で法廷に現れた。外見的には逮捕される前とそれほど変わりはなく、落ち着き払っているように見えた。傍聴席の最前列に座る旧知の記者に気づくと、少し笑顔を見せて会釈。映画やドラマでよく見せた「いい人なのに悪者」の役柄を思い起こさせた。

 裁判官の説明に時折うなずき、問いかけにはしっかりとした受け答えで返す。起訴状では、職業は「ミュージシャン」となっていたが、「ミュージシャンをやっておりましたけれども、現在は事務所を解雇されておりますので、無職です」と答えた。

 起訴状などによると、瀧被告は今年3月11日夜、知人からコカインを購入。その後、使用した。12日、関東信越厚生局麻薬取締部が東京都世田谷区のマンションの一室を捜索した際、瀧被告に尿の提出を求めたところ、尿からコカインの成分が検出されたため、緊急逮捕に至った。瀧被告は20代の頃からコカインなどの違法薬物を使うようになり、多忙による仕事のストレスを発散させるなどの目的で、違法薬物の使用を続けていたとされる。

 裁判官から使用をやめられなかった理由を聴かれると、「心の甘さ」「手に入れられる環境」「ストレス」の三つを挙げ、「本当は(違法薬物の)代わりにストレス解消できるものを見つけたかったが、限られた時間の中で一人で解消しようとした」と答えた。

 違法薬物の入手元についての質問には「知人の女一人」だったと証言。

「弁護士の立ち会いのもと、連絡先を消しました。(今後は)会いません」

 逮捕現場となった部屋についても、「20日に解約します」と説明した。

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「薬物に手を出さないことを誓います」