「昔は朝ドラからデビューする俳優が多かったが、最近はすでに売れている人を起用しているのが目立つ。だから、どっちつかずになる面があるのでは。各方面から好感度を高めよう、としているNHKの狙いがすけてみえる気がしますね」

 盛り上がりに欠ける、という声は、ほかからも聞こえてくる。

 芸能ジャーナリストの佐々木博之さんの受け止めはこうだ。

「おもしろいことはおもしろいんだけど、ツッコミどころ満載。全体に言えることだが、どうもリアリティーに欠けている。例えば、スキンケア化粧品などない時代に、松嶋菜々子演ずる富士子が牧場で牛の世話をしたり、畑を耕したりしているのに、顔が白く、肌がきれい。それらしく泥臭いイメージに工夫できるのに、なぜしないの?と思う」

 ただ、佐々木さんは今後に期待を寄せている。

「朝ドラは視聴者の反応によって脚本を変えることもあると聞きました。例えば、脇役の俳優の人気が出てくると、その俳優を前に出してくるかもしれない。それが起爆剤になれば違ってくる」

 数字が安定しているだけに、勢いのある展開でもう一息、というところ。終盤に向け、老若男女に「なつぞら」のようなスカッとした印象を残せるだろうか。(本誌・田中将介)

週刊朝日  2019年6月14日号