ヤクルトの村上宗隆(C)朝日新聞社
ヤクルトの村上宗隆(C)朝日新聞社
ヤクルトの小川泰弘(C)朝日新聞社
ヤクルトの小川泰弘(C)朝日新聞社

 5月14日からセ・リーグ・ワーストタイ記録の16連敗を喫したヤクルト。6月2日のDeNA戦(横浜)で中4日で先発登板した原樹理が七回途中1失点と踏ん張って連敗を止めたが、まだチーム状況が上向いているとは言えない。

【写真】開幕から苦しむエースの小川泰弘

 貯金5と首位を狙える位置から、長く暗いトンネルから抜け出せず借金11の最下位に転落。負けが込めば、雰囲気も重くなる。交流戦初戦の4日の日本ハム戦(札幌ドーム)は、村上宗隆、山田哲人の本塁打で試合序盤に5点のリードを奪いながら、投手陣がこらえ切れなかった。延長10回の末に逆転負けを喫した。

 4日現在で3位・巨人と8ゲーム差。クライマックスシリーズ(CS)圏内に入るのも難しいように感じる。

 だが、まだあきらめるのは早い。

 昨季まで3連覇中の王者・広島もシーズン序盤にどん底を味わい、借金8まで膨らんだ。それでも、その後に大型連勝を重ねて、現在は貯金12と首位を快走している。

 セ・リーグ他球団の首脳陣は、ヤクルトへの警戒感を口にする。

「打線の破壊力は広島と並んでリーグ屈指です。2年目の村上もチームトップの15本塁打と急成長して打線に厚みが増している。広島のように投手陣が整備されれば、上位浮上は十分に狙えると思います」

 もちろん、現状のままで白星を重ねるのは厳しい。再建が急務なのは先発投手陣だ。

 特にエースの小川泰弘が1勝7敗、防御率5.37と苦しんでいる。本来なら勝ち頭としてチームを引っ張る存在だ。右腕の復調なくしてはチームも上昇気流に乗れない。

 昨季は前年の最下位から2位に躍進したが、実はチーム状況が今年とよく似ている。

 昨年の交流戦開幕前も借金9を抱えていた。それが交流戦で12勝6敗と最高勝率球団になり、借金を一気に減らして勢いがついた。

 山田、バレンティン、村上、青木宣親、坂口智隆、雄平と顔ぶれを見ればこのまま最下位に低迷するチームではない。

 今年も交流戦を良い流れに引き戻すきっかけにしたい。(牧忠則)