「他人のちょっとしたひと言に傷ついてしまったり、ささいなことが気になってしまったり。HSPは生まれもった気質なので、年齢や性別、障害や病気などとは関係ありません。アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士の研究によると、HSPはどんな国や社会でもだいたい5人に1人の割合でいることがわかっています」(長沼さん)

 不快な感情や思考で頭の中がパニックになったり、グルグル思考が止まらなくなってきたときは、下の(1)~(4)のツボを軽くタッピングするとよいという。

「タッピングはアメリカで開発されたヒーリングテクニックです。私のクリニックでも、患者さんたちによくやっていただいているんですよ。四つの部位のツボをトントンしたり、もんだりして、気の流れを逆転させるのです」

 まず左右の手の小指側の側面を、互いにトントンと打ち合わせてタッピング。

「これだけでも効果がありますが、続いて鼻の下、鎖骨の下、人さし指の爪横などをタッピングすると、より効果が高まります」

 一度感情が落ち着いても再びぶり返してきたら、また淡々とタッピングを繰り返す。

「『なぜ自分はクヨクヨ考えてばかりなんだろう』『こんなダメ人間なんか、もうどうにでもなれ』なんて、決して自分を責めないことです。自分の敏感さ、繊細さを欠点と決めつけることはありません。ダメでも弱くてもいい。すべてを事実として受け入れ、肯定すればいいのです」

 そして「自分軸」を持って、自分のことを優先して生きていく姿勢を大事に。「こんなことを言ったら他人に嫌われるかもしれない。こんな行動をとったら何を言われるかわからないと、常に他人の価値観を優先して『他人軸』で生きると自分が苦しくなるだけです」

 まず第一に大切にしたいのは、自分の本心はどうしたいのかということ。そして他人を責めたり否定したりするのではなく、

「自分の本心に沿ったことであれば、他人がそれをどう思おうと気にしない。相手は相手、自分は自分というスタンスを身につけることです。相手を気にしすぎ、自己主張できずにストレスをためるのを防ぐには“自分で決めて、自分で生きること”ですよ」

 自分が一番生きていきやすいように人生を切り開いていくには、自分の生き方を少し俯瞰して眺めてみること。そして心の持ち方をゆるやかに修正していくことが必要なのである。

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