今の現役の投手たちが夢や目標を持てる基準をどういう形で示せるか。投手の役割の分業化が進む中で、新しい基準を見つけなければならないことは誰もが承知している。ただ、ホールドという成績をどう評価するか、という点は、名球会員の中でも意見は分かれている。1勝や、1セーブと同等の価値として認めるべきかどうかは、議論を深めていくしかない。

 何度も言ってきているが、中継ぎ投手を否定しているわけではない。今はオープナーやブルペンデーなど、試合の中での投手戦術も多岐にわたり、先発、救援の線引きも難しくなっている。ただ、現状で投票制としていない名球会。わかりやすい数字を示し、現役選手の目標になり得るような形はないか。みんな知恵を絞っている。

 最後にペナントレースの話題に戻るが、セ・リーグは予想通り、広島が首位争いに加わってきた。打線も鈴木誠也を軸に前後を打つ選手も調子を上げてきているし、床田やアドゥワなど若い投手陣も出て投打がかみ合い始めている。やはり、セは広島中心に首位争いが進みそうだ。

週刊朝日  2019年6月7日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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