アラン・ドロン引退! “カンヌ”で見せた涙の理由

高野裕子週刊朝日

名誉パルムドールを受賞したアラン・ドロン (c... (17:00)週刊朝日

名誉パルムドールを受賞したアラン・ドロン (c... (17:00)週刊朝日
「インドシナに3年いてフランスに帰ってきた。パリである女性と恋に落ちた。何をしたらいいかわからず途方に暮れていた僕に、彼女が“カンヌに連れていってあげるわ”と言ったんだ。僕は“カンヌで何があるの?”とついていった。それが始まりだった」

【名誉パルムドールを受賞したアラン・ドロン】

 華麗な美貌で日本でも圧倒的な人気を誇ったフランスの俳優アラン・ドロン。 御年83で本年度カンヌ国際映画祭で名誉パルムドールを受賞した。

 17歳で入隊、インドシナで3年を費やし1955年に除隊し、帰国したドロンが初めてカンヌを訪れたのは57年。その思い出をこうも振り返った。

「(女優の)ブリジット・オベールと来たんだ。カンヌを歩くと、あなたはどんな映画に出ているのか?といろんな人に聞かれた。知り合いは一人もいなかったんだけれどね。サイゴンから帰ってきたばかりだったから」

 カンヌに来なければ俳優になっていなかったという。

「私を愛してくれた女性が望んだので、俳優という仕事をすることになったんだ。彼女たちが私のために闘ってくれたんだ」

 初めてカメラの前に立ったときの気持ちをこう振り返った。

「作品は『女が事件にからむ時』。カメラの前で演技できるようになるまでには、それほど時間がかからなかった。監督から撮影前に2分ほど話がしたいからと楽屋に呼ばれた。あのときにしてもらった助言が、一生の役に立った。“アラン、君は役を知っている。でも演技するな。役を生きろ”と言われたんだ。それが俳優としてやっていくことのすべてに適応する姿勢となった。俳優としての一生の姿勢になったんだ。イヴ・アレグレ監督がくれた最初の言葉だよ。すべて彼らのおかげだ」

 授賞式で娘さんとレッドカーペットを歩いたドロン。彼の姿を一目見ようと、会場付近のカンヌの路上は人でごった返した。

 そして彼が姿を見せると、あちこちから歓声と拍手が沸き起こった。

「これで本当の引退、アデュー!」と涙を見せたドロン。その存在を強烈に印象づけた一瞬だった。(高野裕子)

週刊朝日  2019年6月7日号

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