とはいえ、天皇陛下と2人ですべての公務に出席できるかはわからない。

 平成の30年間、上皇ご夫妻が、地方の行事や被災地の視察、慰霊の旅など、さまざまなところに顔を出され、出席する公務が膨れ上がった。

「ご無理ではないスケジュールでご公務をしていただければ。皇后さまの本来の国際的な能力をうまくいかせるような形で日程を組んでいければいいのではないかと思います」(同)

 先出の神田氏は、公務は今後、他の皇族たちに分散していくのではないかと見ている。

「皇嗣殿下の秋篠宮さまのご一家に一部を譲り、それでも足りない場合は他の皇族もできるものは代わることでしょう。男性の皇族が極めて少なく、高齢化した皇族が増えているため、平均して分担するというわけにはいかないんですね。どうしても、秋篠宮さまに偏るかもしれません」

 雅子皇后は昨年12月9日、55歳の誕生日に、こうした感想文を寄せた。

「世界に目を向けても、内戦や紛争の影響が、特に子供を始めとする弱い立場の人々に大きく及んでいる現状を深く憂慮しております」「地球温暖化や環境汚染など、国際社会が一致して取り組む必要のある課題が多岐にわたっています」

 長い療養で、外国への訪問はほとんどできてはいないが、幼少から外交官時代に培った国際感覚は失っていない。今回のトランプ夫妻との会見を機に、今後も雅子さまの活躍の場が広がりそうだ。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日  2019年6月7日号に加筆

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら