――フレッチャー監督は『ボヘミアン・ラプソディー』が大ヒットし、続いて本作と音楽映画が2本続きますが、どう作り上げたかったですか?

フレッチャー「『ボヘミアン・ラプソディー』と異なる点であり、『ロケットマン』の強み、魅力はミュージカルであるとう点だよ。そこで必要になるのが、歌唱力のある主演だよ。演技力もあり踊りもできて観客をスクリーンに惹きつけられる俳優さ。舞台のミュージカルを見るのと同様の体験なんだ。映画『ロケットマン』でタロンは歌い、踊り、演技を披露する。パフォーマンスは素晴らしく、いつでも舞台に立つことができるんだ。母親役のブライス・ダラス・ハワードやマネージャー役のリチャード・マッデンにしても、またイメージは超自然的、スーパーリアルだ。それはエルトンというスターと彼の音楽を祝福する表現なんだよ」

――タロンは、衣装をつけた自分の姿を見た時の気持ちはいかがでした?

タロン「メイクアップと衣装が凄く助けになったよ。特に髪型に関しては、驚くほどの技術が駆使されたんだ。鏡に映る自分は別人だった。それがエルトンになりきるために役だったんだ。歌うのは喜びだった。歌が心から大好きになった。ある日デキスターにスタジオで“ハーキュリー”という曲を録音するから練習してくれと言われた。あまり知らない曲で、自分なりのヴァージョンとして謳いあげたのは本当に楽しい体験だったよ」
(=カンヌ/高野裕子)

※週刊朝日オンライン限定記事