「思った以上に医師側がセカンドオピニオンを認めていますね。回答にもありましたが、セカンドオピニオンは患者さんの権利であり、多くの医療者はそれを受け入れている。そう考えると、患者さんも必要性を感じたときは遠慮することなく、医師に相談されてもいいのではないでしょうか。言いだしにくいときは看護師さんなどに相談してみるのもよいかもしれません」

 注目したのは、セカンドオピニオンを受けたいと言われた内容。「うつ病。回復が思わしくなく、適正な治療を受けているか大学病院での診断を希望」(40代男性・老年内科)、「治療がうまくいっていない膠原病の患者さんに、他の医師の意見も聞いてみたいと言われた」(40代女性・リウマチ科)、「当院との関係が悪化。セカンドオピニオンを希望するという体で他院に移った」(30代男性・一般内科)などだ。

「セカンドオピニオンの本来の目的は、患者さんの診断や治療について治療の選択肢はないか、主治医とは別の医師に意見を聞くこと。ところが、治療がうまくいかずに別の医療機関を受診するケースや、転院前提で別の医師の元に行くケースを挙げている医師がいました。そう考えると、本来のセカンドオピニオンはまだ医師の間でも根付いていないのかもしれないですね」

 セカンドオピニオンは認めているものの、相談の仕方次第で患者との関係が変わると考える医師もいた。

「セカンドオピニオンは認めるけれど『残念』という声もありました。やはり最善の方法を提案したにもかかわらず、他の医師の意見を聞きたいと言われたら、そう思う医師もいるでしょう。ただ、そういう場合でも結果的に信頼関係が深まることもあると、多くの医師は答えています。大事なのはセカンドオピニオンを受けたいという気持ちを、主治医にどう伝えるか。要はコミュニケーションなのだと思います」

 では、どう主治医に話せばいいか。石見さんは「気持ちを前面に出すのではなく、客観的な視点を持って相談してみる」ことをアドバイスする。

「言い方でいえば、『○○の理由で、××先生にも意見を聞きたいと思っています。診療情報提供書をお願いできますか』という感じでしょうか。あるいは『先生の家族だったら、セカンドオピニオンを受けますか?』と聞いてみるのも手です」

  いずれにしても、いきなりセカンドオピニオンの話をするのではなく、気になる治療法や治療を受ける上で疑問に思うことについては、あらかじめ主治医に相談しておいたほうがいい。

「セカンドオピニオンは使い方次第で最良の医療を受けられるきっかけになる。うまく利用してほしいですね」(石見さん)

(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2019年5月31日号