大野さんは当初、セカンドオピニオンでは可能性のある治療法について、その有効性やエビデンス(科学的根拠)を一つひとつ説明していたというが、方針を転換。患者が治療に対する不安を拭い去り、前向きに治療に臨めるように後押しをしていくようなセカンドオピニオンを心がけるようになった。

「以前、セカンドオピニオンを受けた100人のカルテを見直したことがありますが、明らかにおかしいと思われる治療法を勧められていたケースはほとんどなかった。やはり乳がんをはじめ、多くのがんで標準治療が確立されているからでしょう」(大野さん)

 逆に多かったのは、「主治医から説明を受けたけれど、その治療でよいか不安なので意見を聞きたい」というものだ。

「例えば、乳腺外科では、『乳房切除と言われたが温存はできないか』とか、『抗がん剤を使わない方法はないか』といった相談がありますが、そういうときは、『なぜ主治医はその治療を提案したのか』を患者さんに説明してもらいます。自ら話すことで頭の整理ができ、治療に対しての理解が深まります」(同)

 上手に受けるコツについては、「事前に病状や治療の要点をまとめておくこと」を挙げる。

「医師は診療情報提供書や画像データを事前に見ているので、患者さんの説明がなくても、病状や治療方針はある程度はわかります。患者さんが要点をまとめるのは自分のため。病気や治療のことを理解するために必要だと考えています」(同)

 同時に「なぜセカンドオピニオンを受けたいのか」「どんなことを聞きたいのか」についても、事前にまとめておくとよいそうだ。

一方、今回の調査結果について、メドピア代表で医師の石見陽さんはこう分析する。

 初めはセカンドオピニオンの現状から。医師の6割が患者に「他院でセカンドオピニオンを受けたい」と相談された経験があり、セカンドオピニオンを受けることについても多くの医師が「何とも思わない」「主治医との関係は悪くならない」と答えている。

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