齋藤さんは、複数の企業に携わり課題解決の結果を出している顧問を、「プロフェッショナル顧問(R)」と名づけ、約3年前に非営利団体「一般社団法人 プロフェッショナル顧問(R)協会」も立ち上げた。

「課題を効率的に解決するため、対象分野に精通したスペシャリストを企業が求める流れは強まる一方です。しかも要望は『より細分化』されてきています。その意味で長年仕事をしてきたベテランなら、誰でもチャンスがあると思います」(齋藤さん)

 実際の実入りはどうなのか。顧問派遣会社は話したがらないが、齋藤さんによると、

「企業が派遣会社に支払う費用は月2回の活動だと20万~50万円ほど。顧問が受け取るのはその3~4割程度です」

「そんなものか」と思われるかもしれないが、あとは本人の努力次第だ。成果を上げていいウワサが業界に広まれば、同業他社から声がかかる可能性が出てくる。派遣会社を通さない直接契約なら、「月2回の活動で20万~50万円」が丸々懐に入る。

 もちろん甘い世界ではない。先の齋藤さんによると、登録者延べ約10万人のうち実際に仕事をしているのは1割に満たない。

 先の農学博士の井澤さんは、「i‐common」の担当者との面談で、厳しく指導された経験が忘れられない。

「私の応募書類を見て担当者が、『これでは何ができる人かわからない』と言うのです。『こんなの誰も読みませんよ』とも言われました。それまで再就職を目指して四十数社に応募したのに、すべて断られていました。その原因がわかった気がしました」

 書き直しては見てもらい感想をもらった。自分の経歴で何がメインで、どの分野で会社に貢献できたかを5つ程度に絞って書いたとき、初めて褒められたという。

 何ができてどのように貢献できるかを「見える化」することは、顧問として活躍できる条件になるようだ。先のマイナビの営業課長も、

「40代ごろから自分の次のキャリアを意識して、能力のブラッシュアップや人脈の発展を図ってきた人は紹介がスムーズにいきます。その人の強みが明確となり、ほかの顧問人材と差別化が図れるからです」

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