巨人の中川皓太 (c)朝日新聞社
巨人の中川皓太 (c)朝日新聞社
巨人の高木京介 (c)朝日新聞社
巨人の高木京介 (c)朝日新聞社

 6月からの交流戦を前に、巨人の勢いに陰りが見えている。その一因は救援陣だ。5月14日の阪神戦(東京ドーム)ではドラフト1位左腕・高橋優貴が6回1失点と好投しながら、七回から救援したサムエル・アダメス、戸根千明が打ち込まれて逆転負けした。

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 原辰徳監督が復帰した巨人は5月17日現在で首位。だが、「勝利の方程式」は日替わりだ。唯一安定しているのは、開幕から16試合連続無失点だった左腕・中川皓太と10試合登板で防御率1.64の高木京介のみ。守護神のライアン・クックは4月23日に右ひじの違和感で登録を抹消され、セットアッパー候補の吉川光夫、若手の宮国椋丞、桜井俊貴も結果を残せずファームに降格した。

 苦しい台所事情で、先発要員だった田口麗斗が2015年以来4年ぶりに救援に配置転換。先発から救援に再び回った沢村拓一は17日の中日戦(ナゴヤドーム)で九回を無失点で締めたが、まだ計算が立つとは判断できないだろう。

 対照的に上昇気流に乗っているのが広島だ。カイル・レグナルト、一岡竜司、ヘロニモ・フランスアから守護神・中崎翔太につなぐ必勝リレーが固まっている。5月は17日現在で10勝3敗1分。巨人に1ゲーム差に接近した。スポーツ紙デスクは「広島は救援陣が本来の状態を取り戻したのが大きい。巨人はスコット・マシソンがファームで実戦登板したのが明るい材料ですが、コマ不足が解消されていない」と話す。

 救援陣が機能せずに勝ち試合を落とすと、ダメージが大きい。前出のスポーツ紙デスクはこう分析する。

「出血覚悟のトレードも一つの手段だと思います。昨オフに丸佳浩、炭谷銀仁朗、中島宏之、ビヤヌエバ、岩隈久志と大型補強しましたし、シーズン中にトレードに動いても不思議ではない。巨人のファームには他球団からの評価が高い選手が多いので、成立する可能性は十分にあります」

 現有戦力で立て直すか、トレードに動くか。この決断がペナントレースの行方を左右しそうだ。(春日哲也)

週刊朝日  2019年5月31日号