たとえば目の前に甥っ子がいて、イジる感じでやっていたらダメです。だけど、別にイジるわけでもバカにしているわけでもなく、その動きをまねしていることはなぜダメなのか? 甥っ子は、障がいがあって、ほかの人がやらないような動きをして、その動きをまねすることのなにがダメなのか? 説明できない自分がいました。そして、息子は言いました。「○○君って、話し方変だよね」と。それもバカにしているわけではなく、純粋にそう思ったから僕に聞いたわけです。

 以前、姉に聞いたことがあります。いつか息子にそういうことを聞かれたときにどう答えたらいいと思うか?と。そのとき姉は「生まれたときに病気になって、話せないんだよ」と答えればいいと教えてくれました。僕はそのとおりに答えました。息子は少しは納得したと思います。

 3歳から4歳になり、いろいろなことを理解していく中で、さりげない「なんで?」は、自分の中で固定化された考え方をもう一度、フラットに戻してくれます。なんでダメなの? なんでいけないの? この際、多くのことを「0」から考えてみたい。

週刊朝日  2019年5月31日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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