闘志あふれるプレーでA東京の2連覇に貢献した田中大貴 (撮影/写真部・馬場岳人)
闘志あふれるプレーでA東京の2連覇に貢献した田中大貴 (撮影/写真部・馬場岳人)

 3季目を迎えたバスケットボール男子のBリーグは、アルバルク東京(A東京)の2連覇で幕を閉じた。白熱した千葉ジェッツとのチャンピオンシップ(CS)ファイナルを、漫画「スラムダンク」の作者・井上雄彦さん(52)が振り返る。

 過去2回のファイナルに比べて、選手それぞれの顔が浮かび上がった試合、という印象を受けました。チームとして積み上げてきた攻撃や守備の上に、各選手の個性が色濃くにじみ出ていた気がします。

 第3クオーター(Q)までは完全にA東京が主導権を握っていて、その色をつくり出していたのは田中大貴でした。覚えているのは、自ら仕掛け、206センチある千葉のギャビン・エドワーズのブロックをかいくぐってシュートを決めた場面。田中は今季開幕前、ルカ・パビチェビッチ・ヘッドコーチから「獣になれ」と言われていました。積極的に点を取りにいけというメッセージですが、あの瞬間の彼は、まさしく獣だったと思います。

 開始から5分以上得点が入らず、千葉の猛追を受けた第4Qでは馬場雄大が踏ん張りました。得点やリバウンドを積み重ね、失いかけた流れをなんとかつなぎとめた。CSのMVPにふさわしい出来でした。第3Qの冒頭に2本続けて3点シュートを決めた竹内譲次、体調不良や試合中に負ったケガの影響を感じさせないゲームコントロールを見せた安藤誓哉の働きも大きかった。

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