室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、平成最後の日に発せられた安倍首相の“不敬”発言を取り上げる。

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 新元号を安倍首相がパフォーマンスに使ったように思えてならないのは、あたしだけではないだろう。政権側は官房長官だけ出てきて、さらっと発表でよかったんじゃない?

 安倍首相、このことでどんだけテレビ映ってんだよ。こういうの、皇室の政治利用っていうんじゃないの? そりゃあ、新しい時代が良くなればいい、みんなそう願っているわけで、このことについて文句もいいづらい雰囲気が出来上がった。安倍政権の狙いは当たったといえましょう。

 そして、今回のことからあたしがつくづくわかったのは、メディアも安倍一派なんですね、ということ。おもねって、ゴマすって、なんとしてでもあの一派の構成員でいたいみたいだ。

 だってさ、4月30日、前天皇陛下の退位礼正殿の儀において、国民の代表として挨拶した安倍さん、上皇上皇后両陛下に対し、

「末永くお健やかであらせられますことを願っていません」

といっちゃったんだよ。動画を確認したけど、一度つっかえて、たしかにそういっている。

 これについては、すぐさま右翼団体『一水会』が反応した。公式ツイッターに、

「安倍総理が、4月30日の天皇陛下の退位礼正殿の儀で『天皇皇后両陛下には末永くお健やかであらせられます事を願って已みません・・あらせられます事を願って(已)いません』とやってしまった。これでは意味が逆。問題は、官邸HPから映像削除したこと。潔く字を間違えたこと認め不見識を謝罪せよ」

 と投稿した。

 えー、安倍首相のあの仰天発言は、漢字が読めなかったからというオチなんか~い!

 一水会のいってることはもっともだ。こんだけ皇室を利用していて、あれはないわい。つーか、ちょっとものを知っている人ならわかっているが、上皇上皇后陛下は安倍さんのやることなすこと眉をひそめていたという。だから、これまでのお言葉には、安倍政権へのカウンターと思われるような発言も多かった。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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