「悪党~」で東出さんが演じるのは、幼い頃に姉を殺され失った、元警察官の探偵役。探偵ものではあるが、一つの事件を境に人生が一変した人たちの心情にスポットを当てた、それぞれの再生の物語になっている。

「今回、犯罪加害者の現在の状況を調査する役を演じるにあたって、いろんな事件にまつわるルポルタージュやノンフィクションを読みました。そこでわかったのは、事件の加害者も被害者も、誰もが、生き続ける限りは、自分の人生を好転させたいと願っていることでした」

 年齢を重ね、経験を積み、家族の形態が変わり、物事の感じ方は若い頃よりも深く激しくなっているとか。

「何でも吸収しようという貪欲さでやってきました。23歳と遅いスタートだったことで、恥をかくことを恐れずにいられた。それが、自分にとっては良かったのかもしれないです」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2019年5月24日号