▼日光を浴びる


 太陽光を浴びることが幸せホルモンのセロトニンの分泌によい影響を与える。セロトニンの分泌を促すには、適度な運動をするのも有効。ジム通いなどハードなものではなく、日常生活で階段を上る、腹式呼吸を心がける、もっとハードルを低くすれば、食事のときによくかむといったことでもいい。

▼性をタブー視しない
「感情老化の進行を食い止める有効策は、性を楽しむこと。性行為は、テストステロンの減少を食い止める役割を果たすだけでなく、適度な運動にもなり、高揚感も得られます。日本は性に関するタブー感があり、ある調査では婚姻カップルの47%がセックスレスという結果が出ています」

 行為そのものにとらわれず、話をする時間や触れ合う時間を増やすだけでも性ホルモン分泌には効果があるはずだと和田さんは考える。また、性ホルモン分泌には恋愛感情も有効。不倫は問題があるが、常に自分が男性であること、女性であることを意識する生活は心も体も若々しく保つ秘訣だ。パートナーと恋人同士に戻るイメージで日常生活での接し方を変えて、定期的に食事や映画に行くのもいい。歌手やスターのコンサートに行くなどして、ときめきと刺激を得るという方法もある。

「よく、恋をすると若返ると言いますが、恋愛こそ予測不可能なドキドキの連続です。相手に好きになってもらうために、知識を総動員し、自分の外見も魅力的に整えるでしょう。日本人はもっと恋愛を活用して、人生を面白くするという視点も持ったほうがいいと感じています。特に男性は恋愛でテストステロン量が増えますから、40代以降の男性には、恋愛をする気持ちを忘れてほしくないですね」

 そのほか、自然を相手にする家庭菜園など“先が読めない”ことは、感情老化の予防に役立つ。

「人間の機能は使わなければ低下していきます。特に40代以降は、老化の速度が加速していく。だから、積極的に脳・心・体を動かさなければなりません。慣れ親しんだものを行い、安らぐのではなく、失敗や恥を恐れずに、挑戦していく。これが多様性が求められる今の時代とシンクロし、さらによりよい人生が待っていると思います。ぜひ、できるところからやってみてください。きっと世界が変わるはずですよ」

(ライター・前川亜紀)

週刊朝日  2019年5月17日号