開幕1軍にいた高卒1年目のロッテ・藤原恭大、広島・小園海斗は、チーム方針で早々に2軍調整が決まった。正解だろう。開幕から1軍にいて、オープン戦とはまた違ったスピード感や厳しさを体感した上で2軍の試合で経験を積むほうが、目標は立てやすくなる。ただ、2軍であっても、夏に向けて相手チームは対策を立ててくる。まず、その相手の攻め方の変化に動じないだけの体と技術を身につけてもらいたい。中日の根尾昂はウエスタン・リーグの試合で左手人さし指を8針縫って、しばらく戦列を離れたが、あわてる必要はまったくない。

 2軍ではどんなにミスをしてもいい。ただ、積極的なプレーの中でミスをすることだ。思い切って腕を振って投げる、どんな球でもフルスイングをするといった基本はもちろんだ。目いっぱいやった中で、対応力を身につけること。とにかく、高校時代のスケール感をプロの世界でも表現してほしい。どうしても乗り越えられない壁が生まれた時、プロの世界で生き抜く術を考えればいい。それは数年先でいい。

 ペナントレースはセ、パともに混戦状態ではあるが、各球団、対戦が2、3回りくらいすると、今年の力関係が見えてくる。

週刊朝日  2019年5月17日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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