林:ほぉ~、それで純烈が結成されたんですね。まだ売れなかったころは、健康センターに歌いに行くとお風呂に入れて、ごはんも食べられて、泊まることもできたんだそうですね。

酒井:それは今もずっとです。貧しかったときは、お風呂に入れて、まかないもつく仕事ってすごくありがたかったですね。前乗りして泊まることもできますし。初めて行ったときに、メンバーを集めて「この現場、絶対取る。だからみんな歌手じゃなくて、健康センターの従業員だと思え」と言ったんです。お客さんたち全員をもてなすという感覚ですね。

林:へぇ~。

酒井:それは今もしみついていて、たとえばボートレース場に呼ばれて歌う機会もあるんです。ファンのおばちゃんたちは、ボートレースなんかやったことないんですけど、純烈としてはそこに呼ばれている以上、舟券を買ってもらわなきゃいけない。だから「次はラストソングです。歌い終わったあと、俺たち舟券を買いに行くから、おばちゃんたちも一緒に買いに行こう」と言って、200人ぐらいみんなでゾロゾロ買いに行くんです。おばちゃんたちに舟券の買い方も教えて。

林:それは呼んだほうとしてはかなりうれしいことですね。

酒井:行った場所の魅力を伝えることも含めてやってるんで、ボートレース場なんか5年以上続けて呼んでもらってます。

林:じゃ、今度は「純烈と一緒に行く出雲ツアー」とか……。なんで出雲なんだ(笑)。

酒井:いいですね。どこ行ってもついてくる“追っかけ”のおばちゃんたちがいるので、みんなで旅してるという感覚がありますね。

林:だけど中にはしつこいおばちゃんもいるんでしょう?

酒井:います、います。新幹線に乗ってたら、隣に座ってるおばちゃんが腕を組んでくるんです。そんなときは「いや、それはダメ。それやったらあかん」って言います。僕はリーダーなので、たとえば白川のファンのおばちゃんにも「あいつ、そういうの嫌いやねん。だからやめとき」とか言いますよ。そしたらおばちゃんは、「ごめんなさい。私、白川さん好きで好きで、しばらく会ってなかったからついグイグイ行っちゃって」とか(笑)。それを「あかん、あかん」って制す役割でもあります。

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