世代論に話を戻すと、66年生まれの皇嗣妃紀子さまも「共通1次世代」であり、「均等法第1世代」でもある。といっても紀子さまは内部進学で学習院に進み、大学卒業の年の9月に婚約している。
婚約時から紀子さまは、皇室に嫁ぐために生まれてきた人のように見えた。「学習院」という場所で皇室との親和性を高めたのだと思う。外国育ちの紀子さまだが、13歳で帰国し学習院女子中等科に編入して以来、ずっと学習院で学んだ。父は学習院大学の教授で、紀子さまは「学習院第五共同住宅」で暮らしていた。
紀子さまは06年、悠仁さまを出産された。以来、紀子さまを巡るバッシングが増えている。皇室にあって次世代で唯一の男子の母となった紀子さまへ、雅子さまから矛先が移ったようだ。
皇室に嫁いだ女性たちは、令和の時代になってもその不自由さから逃れられないのだろうか。
そうではないはずだ。
雅子さまの「適応障害」は完治したわけではない。昨年12月に発表された「東宮職医師団見解」も「依然体調に波があり、過剰な期待はかえって逆効果になる」としている。
それは取りも直さず、「皇室の中で生きる意味」に悩まれ、今も回復の途上である方が皇后として活動されるということになる。
「生きる意味」に悩む人が大勢いる時代だから、そのこと自体、多くの国民の琴線に触れるはずだ。
陛下と共に、ありのままに活動される。そのことで励まされる国民が大勢いる。
それこそが雅子さまが築いていく、新しい皇后像ではないだろうか。
※週刊朝日 2019年5月17日号