いつだって詐欺の標的になるのは弱い人たちだ。せめてメディアは、今回こそ弱者の味方、正しいことをしてくれ。安倍政権の欺瞞をきちんと伝えてくれ。

 以前の消費税増税が公約通り、すべて社会保障に使われたわけじゃないことを、くり返し伝えてくれ。この国の子どもの7人に1人が貧困であることと、安倍首相が海外にばら撒いてきた金額や、リボ払いの爆買いで米国からどれだけ言い値で武器を買わされているかなどを、一緒に報じてくれ。金の出所は、ぜんぶ一緒、我々の血税なんだから。我々にその使い道について考える場を、与えてくれないか?

 テレビは、この国で生活苦から派生した悲惨な事件が起きたら、痛ましい事件だと報道する。そういった事件にも遠からず関わっていること、わかって欲しい

週刊朝日  2019年5月17日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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