2月17日、日本ハムとの練習試合で登板した藤浪(C)朝日新聞社
2月17日、日本ハムとの練習試合で登板した藤浪(C)朝日新聞社
昨年5月6日のソフトバンク戦で本塁打を放ったオリックスのT―岡田(C)朝日新聞社
昨年5月6日のソフトバンク戦で本塁打を放ったオリックスのT―岡田(C)朝日新聞社

 阪神の右腕、藤浪晋太郎はこのまま終わってしまうのか。

 オープン戦で制球難の課題を克服できず、3月12日に2軍降格が決定。フォーム固めに取り組む日々で、実戦のマウンドから1カ月以上遠ざかっている。

 阪神の番記者は、こう複雑な表情を浮かべる。

「藤浪は練習に取り組む姿勢も一生懸命ですし、辛い状況にも関わらず前向きな姿勢を失っていません。首脳陣もどうにか復活させたいと必死です。きっかけさえつかめばまた状況も好転すると思うのですが……」

 2012年に大阪桐蔭高で甲子園の春夏連覇に大きく貢献。阪神入団後は1年目から3年連続2桁勝利をマークした。球界のエースとして順調に階段を駆け上がっていた。

 だが、近年は投球フォームで試行錯誤を繰り返し、1軍と2軍を行き来するシーズンが続いている。

 右打者の顔面付近に抜ける球が多いことも波紋を呼んだ。今年のオープン戦では相手球団が故障のリスクを回避するため、主力の右打者を出場させず、左打者を並べることが多かった。

 実戦で右打者と対戦できる機会が少ないため、劇的に改善する足掛かりをつかめていないのが現状だ。
 
 復活を目指す藤浪にくすぶるのが、トレード説だ。
 
 地元・大阪出身のドラフト1位選手を放出することには球団内でも反対の声が上がる。ただ、「藤浪本人の野球人生を考えたら新しい環境でやらせた方がいいのでは」とトレードに理解を示す阪神ファンも少なくない。実際にパ・リーグの球団で藤浪を評価している声は聞かれる。

 だが、トレードを成立させるためには、1軍で実績がある選手を交換要員にしなければいけないだろう。下位に低迷する阪神の補強ポイントはクリーンアップを打てる力を備えた強打者になる。

 一塁を守れる長距離砲として阪神の思惑とも合致するのが、オリックスのT-岡田だ。10年に33本塁打を放つなど主軸を長年担ってきたが、今年は若返りのチーム方針もあり、1軍出場はわずか7試合で、打率・063、0本塁打(26日現在)。31歳とまだまだ老け込む年ではなく、環境を変えれば活躍できる可能性は十分にある。

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