孤独=ただのひとりぼっちではない 田中泯の“流されない”生き方

赤根千鶴子週刊朝日
 人生100年時代、誰しもが向き合うことになる孤独。マイナスな意味で受け取られがちな孤独だが、考え方次第で人生の豊かさが大きく変わってくる。一人で農業を営む舞踊家・田中泯さんは、孤独をどのようにとらえているのか。

 田中さんは1985年に山村に移り住み、今日にいたるまで農業を礎とした日常生活を送っている。

「子どもの頃から集団が苦手なんです(笑)。その場の調子に合わせてそっちに行くということができない。多くのものごとは多数決で動くわけですが、恐らくそこにも子どもの頃から疑問を持っていた。数で決まることというのが必ずしも正しいと思っていないのです」

 一人で行動する人間というと、とかく“社会から外れた人間”と思われがちだ。

「友達がいなくて一人で行動する子どもはすぐに問題視される。でも皆といたほうが成長できるなんて、本当ですか? なぜ大勢でいることが正しいんだ。群れていないといけないのか? 僕にはわからないですね」

 一人の老人は気の毒。そんな言葉も受け付けない。

「一人でも豊かに生きることは十分できるのです。しかしいまの社会はあらゆる人間の現象に対して『ひとつの答え』を持っているような錯覚があるのでしょうね。でもそんなの嘘ですよ。だって人間の中身なんて一通りではないんですから」

 一人でいる人間がいたっていいではないか。途中で立ち止まってしゃがみ込んでいる人間がいたっていいではないか。それを許さず一方向の解釈でものごとを片付けようとするのはまさしく「管理」ではないのか。

「言葉もずいぶん狭義になってきていると思います。昔は『孤独』ってかっこいい言葉でもあった。しかしいまはネガティブな意味合いが濃い言葉になってきていますよね。皆、パパッと情報処理された言葉を鵜呑みにしていていいのかな? 言葉ってもっと豊かなものですよ」

 孤独=ただのひとりぼっち、ではないだろう。本当のところどういう現象なのかは、個人個人が認識し、定義をすればいいことだ。

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