2年半ぶりの新作を発表したノラ・ジョーンズ
2年半ぶりの新作を発表したノラ・ジョーンズ
ノラ・ジョーンズ『ビギン・アゲイン』ブルーノート/ユニバーサル UCCQ-1097
ノラ・ジョーンズ『ビギン・アゲイン』
ブルーノート/ユニバーサル UCCQ-1097

 ノラ・ジョーンズが2年半ぶり新作『ビギン・アゲイン』を発表した。前作『デイ・ブレイクス』はピアノの弾き語りによるジャズ、カントリー・テイストの曲が主体で、デビュー初期のスタイルに戻ったとして話題となり、日本を含めたワールド・ツアーを実施。

【新作『ビギン・アゲイン』のジャケットはこちら】

 ロンドンのジャズ・クラブ、ロニー・スコッツでのアコースティック・トリオによる映像作品『ライヴ・アット・ロニー・スコッツ』も発表してきた。

 同作が発表された昨年の6月以来、「マイ・ハート・イズ・フル」をはじめ4曲を配信で発表。「ジャスト・ア・リトル・ビット」など新曲3曲を含めてCD化したのが今回の『ビギン・アゲイン』だ。

 「マイ・ハート・イズ・フル」の配信時、“#songofthemoment”として、即興のセッションをきっかけに録音。それぞれ実験的な側面もあったことから、曲が出来上がり次第、順次発表したい意向があったようだ。

 結果、様々な音楽性を“折衷”したものであり、それこそがアルバムのテーマ、コンセプトであり、彼女の現在の音楽姿勢、志向を物語たるあたり、興味をそそられるところだ。

 ノラ・ジョーンズは1979年、ニューヨーク生まれ。父は著名なシタール奏者のラヴィ・シャンカール、母はコンサートのプロデューサーだったスー・ジョーンズ。子供の時、両親の別離とともに母の故郷のテキサスのグレイプヴァインに移住。母が所有していたレコード・コレクションの中でもビリー・ホリデイやビル・エヴァンスに親しみ、教会の聖歌隊の合唱団にも参加。カントリー・ミュージック、ソウル・ミュージックの曲をピアノの弾き語りで歌うようになっていたという。

 ハイ・スクール時代にはコンテストの受賞歴があり、大学でジャズ・ピアノを専攻しジャズ・シンガーの一員に。99年、ニューヨークに向かい、大学には戻らず同地に住んでラウンジ・シンガーとして活動し、かつて知り合ったジェシー・ハリスらと結成したバンドのデモ・テープがジャズ・レーベルのブルーノートの社長の耳にとまりデビューのきっかけをつかんだ。

著者プロフィールを見る
小倉エージ

小倉エージ

小倉エージ(おぐら・えーじ)/1946年、神戸市生まれ。音楽評論家。洋邦問わずポピュラーミュージックに詳しい。69年URCレコードに勤務。音楽雑誌「ニュー・ミュージック・マガジン(現・ミュージックマガジン)」の創刊にも携わった。文化庁の芸術祭、芸術選奨の審査員を担当

小倉エージの記事一覧はこちら
次のページ
デビューアルバムで大きな話題