帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージです (c)朝日新聞社
※写真はイメージです (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「オーラル・エコロジー」。

*  *  *

【ポイント】
(1)口の中の細菌の生態系が乱れてトラブルが
(2)歯周病によるトラブルは全身にも及ぶ
(3)噛み合わせの悪さが脳にも影響する

 オーラル・エコロジーという言葉をご存知でしょうか。オーラル、つまり口の中をひとつの生態系と考えて、その環境を整えることで体全体の健康を維持・増進させていこうという考え方です。

 私は口の中のことについては専門家でないので、今回はこのオーラル・エコロジーを提唱している知人の歯科医、福岡博史さんの著書『歯と口を治せば、からだの不調は治る!』(主婦と生活社)を参考にしました。

 福岡さんによれば、口腔内は小宇宙という表現がふさわしく、数多くの細菌が棲みついていて、一つの生態系を成しているというのです。

 口の中にはなんと500種類を超える細菌(常在菌)がいます。しかし、口の中にいくら細菌が存在していても、そのこと自体が問題なのではありません。ヒトと口の中の細菌は共存できるのです。ところが、この細菌の生態系がいったん乱れはじめると、口腔環境のバランスが崩れてトラブルが生じることになるというのです。

 この生態系の乱れから自分でも知らないうちに進行しているのが歯周病です。歯周病とは歯の周囲組織の疾患です。その周囲組織には【1】歯肉(歯茎)【2】歯槽骨(歯を支えている骨)【3】歯の根元のセメント質(歯根)【4】歯根膜(歯槽骨とセメント質を結びつけている膜)の四つがあり、まず悪くなるのが歯肉です。この歯肉炎の初期は、ほとんど症状がなくてまず気づくことがないそうです。そして歯肉炎から炎症が広がって歯槽骨にまで及んでしまったものが歯周炎で、ここにいたるとトラブルが全身に及びます。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ