古賀氏はこう語る。

天皇陛下のこれまでのご発言が、安倍首相の姿勢へのアンチテーゼに感じられることは多々ありました」

 田原氏は安倍首相の姿勢について「応援してくれる保守派、右派に対する配慮だ」と分析した上で、こう話す。「『沖縄やサイパンといったかつての激戦地に行くべきではない。天皇は祈ってさえいればいい』とする保守勢力は少なからずいる。その意味では陛下は懸命にご自身の姿勢を貫かれたと思います」

 元号が令和に変わり、安倍政権の皇室利用は終焉するとの見方もある。“悲願”の消費増税への発言で自民党内では混乱が起き、21日投開票の大阪、沖縄の衆院補選では苦戦を強いられた。

「早期の令和解散は十分にありえます。補選での苦戦を見ても増税に向けた旗色は悪い。5月の景気動向指数や6月の日銀短観による見通し次第で決断するでしょう。私は良くない指数が出ると見ている。3度目の消費増税をしたいのであれば、国民の信を問うことになるでしょう」(田原氏)

 これまでの政治姿勢が問われることになりそうだ。

(構成/本誌・秦正理)

週刊朝日  2019年5月3日‐10日合併号)

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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