東京豊島区の事件現場に手向けられた花束 (c)朝日新聞社
東京豊島区の事件現場に手向けられた花束 (c)朝日新聞社

 また高齢ドライバーによる悲しい事故が起きた。東京都豊島区で19日、87歳の男性が運転する乗用車が赤信号の交差点に進入し通行人を次々とはね、自転車に乗っていた31歳の母親と3歳の娘が亡くなった。

【図表】「自主返納」10のチェックポイントはこちら

 車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(87)は、「アクセルが戻らなくなった」と話し、車は約150メートルにわたってハンドル操作されていなかったと報じられている。

 飯塚さんは足を悪くし、最近は杖を使って外出していて、1年前には近所の男性に「運転をやめる」と話していたという。

 これ以上、痛ましい事故を増やさないために、高齢になった親や家族を加害者にしないために何ができるのか。GWに家族でチェックしたい運転免許の自主返納を見極める10のポイントを、「週刊朝日」(2018年6月15日号)から改めて紹介する。

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 神奈川県茅ケ崎市で2018年5月28日、90歳の女性が運転する乗用車が信号を無視して横断歩道に突っ込み、4人が死傷した。

 女性は免許更新の際に75歳以上に義務づけられている検査を昨年12月に受け、認知機能に低下の恐れはないと判断されていた。

 家族らから免許の自主返納を勧められており、女性は「そろそろ返そうかな」と口にすることもあったという。県警によると「ひざが悪かったので買い物などに車が便利だった」などとして免許を更新していた。

 女性や家族にとっては、早めに返納すればよかったと悔やまれる結果になった。

 こうしたケースは各地で相次いでいる。前橋市では1月、当時85歳の男性が運転する乗用車に女子高校生2人がはねられて死傷した。

 警察庁によると交通事故は全体的には減少傾向だが、高齢者による事故は高止まりしている。75歳以上の運転者による死亡事故は昨年は418件で、死亡事故全体に占める割合は12.9%。80歳以上による死亡事故は昨年は235件で、全体の7.2%だった。

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