若竹千佐子が語るデラシネの時代「孤独は心の解放」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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若竹千佐子が語るデラシネの時代「孤独は心の解放」

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赤根千鶴子週刊朝日
若竹千佐子さん(わかたけ・ちさこ)/1954年、岩手県遠野市生まれ。作家。55歳のとき、夫が突然、脳梗塞で死去。その後、小説講座に通い始め、2017年に『おらおらでひとりいぐも』で第54回文藝賞を史上最年長の63歳で受賞。18年、同作で第158回芥川賞を受賞 (c)小林紀晴

若竹千佐子さん(わかたけ・ちさこ)/1954年、岩手県遠野市生まれ。作家。55歳のとき、夫が突然、脳梗塞で死去。その後、小説講座に通い始め、2017年に『おらおらでひとりいぐも』で第54回文藝賞を史上最年長の63歳で受賞。18年、同作で第158回芥川賞を受賞 (c)小林紀晴

 いつも誰かと一緒にいようとしたり、周りに合わせたり。そんなに孤独は怖いこと? 毅然として「個」として生きる覚悟を決めれば、そこから広がる世界もある。そんな孤独との付き合い方を『おらおらでひとりいぐも』著者の若竹千佐子さんに聞いた。

*  *  *
 若竹千佐子さんは55歳のときに夫をなくした。それ以後、自分の気持ちを毎日ノートに書き綴っているという。

「『図書館に行ってくるよ』と家を出ていったきり、2歳年上の夫は二度と帰ってきませんでした。図書館に行く途中、脳梗塞で倒れたのです。大混乱の中でお葬式をあげましたが、その後呆然としてしまって」

 そこで若竹さんは、自分の感じていることをひたすらノートに書き連ねた。自分の“悲しみみたいなもの”を書き出すと、悲しみばかりではない、自分の心が見えてきた。

「書き綴ることで自分を見つめ直し、気持ちを立て直すことにつながりました」

 しかし夫がいない生活が始まると、やはりさびしさが身にしみた。でも、顔を合わせれば挨拶をして、ちょこっとおしゃべりをする仲間はいて。私は“孤立”はしていない。そう思うと安心感があった。

 だが、決してそこに寄りかかりはしなかった。

「生活の遠景に存在する仲間、友達、子どもは人生の彩り。とても大切な存在だと思います。でも、やはり自分ではない“他人”です。一緒にいれば楽しいこともいっぱいありますし、年をとったら自分から縁を積極的につくっていくことも必要です。けれどだからといって、他人に何かを期待しながら生きることはないでしょう?」

 一人でいるときの自分こそが、本当の自分。だからこそ、一人で生きるというのは基本だと思っている。

 若竹さんが今後目ざしているのは、“自分を喜ばせて生きること”だ。

「私たち世代の女性の場合、自分はさておき、まず家族を幸せにすることを求められてきたひとが多いと思います。私も若いときは『こうしなければならない』と親に言われたり、周囲に言われたりして、本当の自分の思いがなかなか見つけ出せませんでした。でももう、ひとの期待に応える人生を歩む必要もない気がして」


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