【女の三世代 1905年】生と死の円環に興味があったクリムトが、幼年期、青年期、老年期3人の女性の姿を通して「女の人生」を表現。本作品は今回、初来日となる (ローマ国立近代美術館 Roma, Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea. Su concessione del Ministero per i Beni e le Attivita Culturali)
【女の三世代 1905年】生と死の円環に興味があったクリムトが、幼年期、青年期、老年期3人の女性の姿を通して「女の人生」を表現。本作品は今回、初来日となる (ローマ国立近代美術館 Roma, Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea. Su concessione del Ministero per i Beni e le Attivita Culturali)

 昨年、没後100年を迎えたが、今もなお、黄金色の輝きを放つグスタフ・クリムトの作品。4月23日から、傑作揃いの展覧会が開催される。

【写真特集】クリムトが描いた女たち

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 19世紀末のウィーンを代表する巨匠、グスタフ・クリムト。金箔やガラスなどの素材を多用し、日本の浮世絵や琳派からも影響を受けたとされ、次世代の画家たちに多大な影響を与えた。

 4月23日から東京都美術館で開催される「クリムト展 ウィーンと日本 1900」は、過去最多の油彩画25点以上が一堂に会する大規模展とあって、大きな注目を集めている。

 生涯独身を貫き、恋多き画家としても知られるクリムトは、女性像を得意とし、その情感を豊かに描き出した。

「クリムトは、その奔放な女性関係もあって、女性の心理と生理を知り尽くしています。それが彼の芸術に創造的に働きかけたことは確かでしょう」

 本展覧会の監修を務める、美術評論家の千足伸行さんはそう語る。彼の描く女性たちは没後100年を経た今も、強烈な個性を放っている。

「魔性の女、夢見る少女、若い母親、社交界の花形セレブなど、クリムトが描く女性は幅広く、決してワンパターンではない。シックで洗練されたファッションセンスや、華やかな色彩が醸し出す装飾的な美しさが、人々の心を惹きつけているのでしょう」(千足さん)

「クリムト展 ウィーンと日本 1900」4月23日(火)~7月10日(水)東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)/7月23日(火)~10月14日(月)豊田市美術館(愛知)

(文・構成/吉川明子)

週刊朝日  2019年4月26日号