藤田さんの場合、稽古中に、台詞が変わることもしょっちゅうだというが、「是枝(裕和)監督の『誰も知らない』のときも台本はなかったですし、即興的に作っていくスタイルは好きなので、不安はないです」と、にこやかに話す。実際、アメコミ原作のマーベル映画を、藤田さんと一緒に観る時間も作ってあるそう。

 14歳にして、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した彼の俳優としての目標は、いつかまた、世界3大映画祭で賞を取ることだという。

「世界的な賞の名に恥じない俳優でありたいという気持ちは常に持っています。ただ、俳優の仕事は、一人では絶対に成り立たない。様々な作り手の方との共同作業の中で、常に周囲にインスピレーションを与えられる存在になれたらいいですね」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2019年4月26日号