民間金融機関が提供するリバースモーゲージでは、他社に先駆け手がけた東京スター銀行の商品の累計利用者数が1万人を超え、融資残高は1100億円を突破した。リバースモーゲージの普及を加速させるため、東京スター銀行は強固な顧客基盤を持つ地域金融機関との提携を進めている。例えば、17年6月には静岡銀行、18年2月には三重銀行、6月には大光銀行(新潟県長岡市)、千葉興業銀行、10月には池田泉州銀行、11月には多摩信用金庫と立て続けに提携網を拡充している。具体的には、東京スター銀行がリバースモーゲージ分野での商品・販売・審査・管理などのノウハウを提供し、提携金融機関が販売するリバースモーゲージ商品の保証業務を東京スター銀行の子会社が引き受ける仕組みだ。

 関西地区で初の提携となった池田泉州銀行は、阪急阪神ホールディングス(HD)傘下の阪急阪神不動産と連携し、阪急・阪神沿線の空き家所有者にリバースモーゲージの商品提供を始めるなど、社会問題となっている「空き家」問題の解消への取り組みにも利用されている。

 ただ、リバースモーゲージは、その名のとおり、長期間にわたる「逆抵当融資」という性質をもっている。このため、融資額が担保不動産評価額を超えてしまう「担保割れリスク」が課題となる。担保割れの引き金となる要因としては、「契約者の長生き」「不動産価格の下落」「金利上昇」の三つのリスクが指摘されている。

「長生きリスク」とは、契約者が契約時に想定された年齢よりも長生きし、生きている間に借入金の残高が、不動産の評価額に達してしまうリスクである。リバースモーゲージの商品の多くは、借入金の残高が担保評価額に達すると融資終了となるケースが多い。その場合、長生きしてしまったリスクは、利用者側が負担することになる。だが、融資が打ち切られてしまっても、自宅に住み続けることはできる。銀行と保険会社が提携し、融資終了後は終身年金保険に切り替えることが可能な商品なども開発されている。

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