“予約”した葬儀社から死期迫る父へ電話!? 鈴木おさむ「死のリアル」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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“予約”した葬儀社から死期迫る父へ電話!? 鈴木おさむ「死のリアル」

連載「1970年生まれの団ジュニたちへ」

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鈴木おさむ週刊朝日#鈴木おさむ
鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中

(本人提供)

(本人提供)

 僕と妻と息子と病室に入ると父はいつもと変わらない。帰り、僕だけ荷物を取りに病室に戻ると、母はおらず、父だけだった。妻は病院の前に車をつけて、待ってくれていた。病院の1階にはカフェがあり、僕は荷物を取ったら、カフェでカフェオレを買って車に戻ろうと思っていた。

 病室に入ると、父は、動かすのがしんどいはずの体を起こして、僕に言った。「今までありがとうございました」と。「あと数日だと思う」と。

 感謝の言葉と、これからのことを伝えて深々と頭を下げた。僕は涙をこらえていたのだが、病室を出た瞬間、涙が溢れてしまった。エレベーターに乗り、涙を拭きながら車に向かったのだが、自然と足はカフェに向かい、しっかりとカフェオレを買ってしまう自分がいた。

 そのときの自分を振り返り、リアルだなーと思う。ドラマだったら絶対カフェには寄らないものな。でも、それが現実でそれが人間だなと思う。みんな誰かが亡くなるときには、その人の死との距離感をつくりながら、生きていく。悲しみの中にも一滴の笑いや喜びや欲は必要なのだ。

週刊朝日  2019年4月26日号


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鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中

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