公立では各地域のトップ校が健闘している。公立トップは7位の札幌南。56人の合格者のうち52人が北大、札幌医科大、旭川医科大に合格した。

「毎年、理系の約3分の1から4分の1が目指します。札幌医科大と旭川医科大の医師を招いた『医学部医学科研究会』もあり、面接指導、小論文添削指導も丁寧に行っています」(高桑知哉進路部長)

 北海道勢では北嶺も27位。18年度から「北嶺メディカルスクール」をスタートした。心臓手術の模擬などをする「ブラックジャックセミナー」、離島の診療所を訪問する「Dr.コトーキャンプ」、へき地の医療研修「赤ひげツアー」などが体験できる。

「毎月、医師を招いて講演会をしています。希望者に様々な研修をして、医師としての資質を育んでいます」(谷地田穣校長)

 18位の仙台第二は医師の心構えを育てるプログラム「医進会」を10年度から始め、病院見学もする。

 このような志望者向けコースやプログラムを用意しているところは増えている。トップ30には入っていないが、公立では戸山(東京)、新潟(新潟)、修猷館(福岡)、私立では江戸川学園取手(茨城)、広尾学園(東京)、開智(埼玉)、川崎医科大附(岡山)などがある。

 ラ・サールのように寮があるところも特徴的だ。北嶺、洛南、久留米大附設、愛光、白陵、西大和学園など。規則正しく生活し、勉強の習慣や協調性も身につくという。

 ここまでは国公立大に強い高校を見てきた。ここからは、私大を含め今年の医学部入試を分析する。

 昨年夏に東京医科大の不正入試が発覚。その後、文部科学省は10大学が女子や浪人を重ねる多浪生などを不利に扱う“不適切入試”をしていたと指摘した。

 合格者の男女比率や現浪比率などが公表されるのはこれからだが、高校や予備校関係者らは「女子や多浪生の合格者は間違いなく増えている」と断言する。深刻だった差別が、やっと見直され始めたようだ。

 医歯薬専門校舎の駿台予備学校お茶の水8号館の田尾浩子校舎長はこう語る。

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