【本】


 高山さんのクライアントに、「本だけは絶対に一冊も手放さない」と言う人がいた。だが、最終的に7千冊から5千冊まで減らして本棚を整理できた。

 一冊ずつ丁寧に選んでいくと、役目を終えた検定のテキストやビジネス書などが出てくるはずだ。ときめかない本は、古本屋などに引き取ってもらい、次の読み手に渡すのも悪くない。

 感銘を受け知の向上に役立った本は、ときめくのなら迷いなく本棚に戻しておこう。

【書類】
 書類に関しては、基本はすべて捨てるつもりで、本当に必要なものだけを見極める。

 保証期間が切れた電化製品の保証書や取り扱い説明書を保管している人は多い。一つひとつの書類は薄くても、チリも積もれば山となり、かさばる。インターネットで調べれば解決しそうなことが書いてあるものは、処分しても大丈夫だ。

 まとめて捨てずにすべて目を通す。根気のいる作業だが、重要なモノを捨てて後で困るのは本末転倒なので、集中してやる。

 残す書類は、わかりやすいようにクリアファイルにまとめておく。

【小物】
 なんとなく引き出しの中にしまい込まれている小物。色あせた付箋(ふせん)、もう書けなくなっているペン、古い乾電池、コンビニの箸とスプーン……。記者の机の引き出しの中で散乱している小物をざっとあげてみてもきりがないほど。ときめかないモノだらけだ。

 家だとキッチン用品、古くなった調味料や薬、化粧品など、様々なモノが眠っている。

 ときめくモノだけ選んだら、空き箱を利用して、種類ごとに分けて収納する。ティッシュの箱などを使えばいい。引き出しを開けて一目で、必要な小物がわかる。

【思い出品】
 写真や大事な人との手紙、日記といった品々。「かつてはときめいた」モノたちで、手放すには名残惜しいかもしれない。でも、かつて輝いていたとしても過去はカコ。

 一つひとつ手に取って過去と向き合い、これからの人生に生かせるときめくモノだけ残そう。

 ここまで見てきたように、こんまり流といっても特別難しいものではない。やる気さえあれば誰にでもできる。だからこそ世界中に広まり、姓のkondoが「片づける」「捨てる」を意味する動詞として使われるようになったのだ。

 みなさんも、今をときめくこんまり流片づけ術を始めてみませんか。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2019年4月19日号より抜粋