【文豪の湯宿】殺され役で登場も 内田康夫が温泉地で出会った人 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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【文豪の湯宿】殺され役で登場も 内田康夫が温泉地で出会った人

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鈴木裕也週刊朝日#旅行
玉樟園 新井/自然林に面した貸し切り露天風呂「山水」。四季折々の花鳥風月が楽しめる庭園に建物が離れ形式に配置される

玉樟園 新井/自然林に面した貸し切り露天風呂「山水」。四季折々の花鳥風月が楽しめる庭園に建物が離れ形式に配置される

夫人で作家の早坂真紀さん(右)と訪れた際には、花登筐が『細うで繁盛記』を執筆した部屋「こばこ」に宿泊。左は宿の支配人
玉樟園 新井/静岡県伊豆市土肥284-2

夫人で作家の早坂真紀さん(右)と訪れた際には、花登筐が『細うで繁盛記』を執筆した部屋「こばこ」に宿泊。左は宿の支配人
玉樟園 新井/静岡県伊豆市土肥284-2

 文豪たちの作品に登場する温泉宿を訪ねる連載「文豪の湯宿」。今回は「内田康夫」の「玉樟園 新井」(静岡県・土肥温泉)だ。

【写真】内田康夫さんと夫人で作家の早坂真紀さん

*  *  *
 昨年、83歳で亡くなったミステリー作家の内田康夫は囲碁好きだった。文壇名人になったこともある腕前を見込まれ、昭和63年に囲碁タイトル戦「本因坊戦」第5局が行われた玉樟園を観戦記者として訪れたのが、宿との出会いだった。なお、この対局は、武宮正樹本因坊が5時間7分という記録的大長考を行った“伝説の一局”として語り継がれている。

 碁局の準備で多忙だった主人に代わり、作家を迎え、身の回りの世話をしたのは女将と地元の内田マニアの男性だった。内田はこの男性を気に入り、自作に3回、すべて殺人の被害者として実名で登場させている。

 その後も、何度も訪れ、眺望の良い「名月」の間に宿泊。土肥金山を舞台にした『喪われた道』では作品中に取り上げた。夏の繁忙期の土肥取材で宿の心配をする探偵役の浅見光彦に軽井沢のセンセ(内田氏自身のこと)が助言するのだ。

<「だったら玉樟園に泊まれ。僕の名前を出せば泊めてくれるよ」(略)。「美人の女将は僕の恋人だからな」などと、大きなことを言っていた>

 ドラマ版「喪われた道」でロケ先としても用いられた、ゆかりの宿だ。(文/本誌・鈴木裕也)

■玉樟園 新井(ぎょくしょうえん あらい)
静岡県伊豆市土肥284-2

週刊朝日  2019年4月19日号


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