「走れるビッグマンが今や世界水準。私の現役当時は『ゴール下が自分の職場』という考え方が当たり前でした。極端に言えば、リングの下でボールを待ちかまえていればよかった。現代バスケでは、オールラウンドな動きが求められます」

 渡邊や八村はビッグマンでありながら、速攻で先頭を走る脚力、外角からのシュート力も備える。米国でもまれる彼らと、国内のプロリーグであるBリーグの猛者が集う日本代表は世界で通用するのか。試金石となりそうなのは、8~9月に中国で開かれるW杯での対戦が決まった米国戦。NBAのスター選手がずらりと招集される見込みだ。ただ、実力を測るには時期尚早と北原さんは見る。

「日本バスケはまだ創成期で、ようやく世界の舞台に上がったところ。すぐに結果は出ないでしょう。米国にコテンパンにされてもいいんです。サッカーやかつてのバレーボールのように、まずは日本独自のプレースタイルを確立してほしい」

 泉さんはこう望んでいる。

「日本人の特徴でもある協調性を生かした、個が融合するチームが見たい。そして、ユウタと聞けば、田臥勇太と言われることがまだまだ多い。今後は渡邊“ユウタ”や八村“ルイ”を目指して、さらに彼らを凌駕する選手が出てきてほしい」

(本誌・秦正理)

週刊朝日  2019年4月19日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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