オススメの参考書は、『京大入試に学ぶ和文英訳の技術』『京大数学プレミアム』など、入試問題に対応した実践的なものが選ばれている。『世界一わかりやすい京大の数学合格講座』は、赤本、青本のように“黄色本”とも呼ばれ、活用されている。

 定期的に利用していた塾や予備校、通信教育も回答してもらった。駿台予備学校や河合塾、東進ハイスクールやZ会などを利用している合格者が多い。回答がない合格者も1割ほどいて、高校の授業を中心に独力で合格した人もいる。スマホなどを通じた動画授業「スタディサプリ」の利用者も増えていて、勉強の仕方は変わりつつある。

 将来の目標を教えてもらうと、学者・研究者になりたい人が2割強を占めた。「人工知能(AI)の研究に携わり人型ロボットをつくる」(工学部・男性)、「森林の研究を通じて環境問題に取り組みたい」(農学部・女性)など意欲的な回答があった。

 おもしろいのは勝負メシ・勝負スイーツ。1位になったのはチョコレートとうどん。うどんは東大は文系5位、理系6位だった。京大でトップになったのは、関西でうどんの食文化が根付いていることが考えられる。

 甘いものも大人気だ。チョコレートは「脳を活性化させ、集中力が上がる」などとも言われる。8位のラムネや9位のキットカット、10位のプリンもあり、合格者の間でスイーツが受け入れられていることがわかる。脳のエネルギー源になる糖分を効率よく取ることは、合格への近道なのかも。

 3回にわたった東大・京大合格者の実名アンケートも今回で終わり。難関を突破した受験生たちの素顔がわかってもらえたはずだ。(本誌・吉崎洋夫、大学入試取材班)

週刊朝日  2019年4月19日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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