特定されると不味(まず)いのでぼかして書くが、この数年の間で、知っている母親が風俗で働くことになった。
PTAの母親同士で、投資詐欺まがいのトラブルもあった。
風俗にいかざるをえなかった母も、怪しい投資話につい乗った母も、詐欺を行った母も、みなあたしとおなじくらいの中年女性。そうしなきゃ子を抱え生きていけない事情があったのだ。
お金だ。これから先も生活するのに十分なお金があったら、違った今があったかもしれない。
人付き合いが苦手なあたしの耳にも、そのくらいの話は嫌でも届く。この国の貧困問題に今騒がない人は、現状をまったく知らないのか? それとも知らないふりをしているのか? 冷血で、自分とは違う他人に、興味がないのか?
※週刊朝日 2019年4月19日号
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