――刑務所への慰問を40年続けるなど社会貢献にも熱心だ。積極的に弟子を取り、育てることでも知られる。

 たまたま2年連続で、松本市の少年刑務所に行ったことがあるんです。あるとき歌舞伎町を歩いてたら、向こうから5人の不良が来た。なんとなくよけながら通り過ぎようとしたら、「師匠、松本ではありがとうございました!」って言うんだよね。それで使い捨てカメラを取り出して「一緒に写真撮ってもらえますか」って。「いいよ」って撮ったんだけど、そのなかの一人は「いや、僕は迷惑をかけるといけないからいいです」と言うんだよね。そういうことを考えて、言える子になったんだなって。僕らが役に立つこともあるのかもなあ、って思いました。

 弟子はいま12人います。弟子は子どもじゃなくて、兄弟みたいなものかなと思う。一緒に成長してるからね。掃除も僕が率先してやるんです。トイレ掃除もする。順番でやろうとするじゃない。そうするとやらない子もいるんだよね。トイレットペーパーの端を三角に折るだけの子もいるし、「やりました」って嘘をつく子もいる。「掃除用のペーパーが減ってないじゃん!」って言うと、次からそれを流すだけの子もいる。

 もう知恵比べ、兄弟ゲンカみたいなものですよ(笑)。でも、僕は「本当に純粋にならないと、芸事は成立しないよ」ってことを教えてあげたいのね。うるさい師匠と言われてもね。

――20代で2回の結婚離婚を経験した。息子もいるが、その関係はちょっと微妙だという。

 息子はアメリカにいるんです。もう40歳くらいかな。何年も会ってないね。息子は、2回離婚したあと、フランスの女性と恋愛して生まれたんです。僕がテレビに出るちょっと前、32歳くらいのときかな。日本語が苦手で、幼稚園時代は円形脱毛症になってた。かわいそうだったよね。でも息子は最終的には僕より賢くなりましたよ。パリ大学を出て、どこかの大使館に勤めてたからね。

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