そして、ある時、自宅の窓から外に見ているとA被告の車に黒っぽい服を着た男が近寄り、車体の下あたりをのぞき込み、作業をしていたのを目撃。

 A被告はその決定的な場面をスマートフォンで撮影。その後、自らの手でGPS端末を発見したという。

 判決では、GPS捜査が多数回に及んでいることを指摘。

「GPS捜査は個人のプライバシーの侵害を可能にする」

「憲法の保障する重要な法的利益を侵害する。プライバシーを侵害したことは明らか」

「(令状を取得していなかったことは)令状主義に反する」として「違法」と結論づけた。

 A被告の弁護士はこう主張した。

北海道警は2002年に薬物、銃器のヤラセ、違法捜査が明らかになった。今回もA被告を監視して、犯人ありきと捜査。そしてGPS捜査は違法とされた。北海道警の違法な捜査にもかかわらず有罪判決となり、A被告は即日控訴した」

 違法と断罪されたGPS捜査についてはこう訴えた。

「A被告がGPSを使った警察の不審な捜査の決定的場面をスマホで撮影したので、GPS捜査は今後、減るだろう。だが、警察はカーナビの位置情報を特別な方法で得ているとの情報もある。A被告がGPS端末を発見後でも警察が動向を把握していたことで、その疑いが強くなった。今後そちらにシフトするのではないか」

(今西憲之)

週刊朝日 オンライン限定記事

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら