安倍首相はよく「安倍政権において就業者が380万人増えた」と自慢する。しかし、その内訳は、安倍政権の6年間で、15~24歳で90万人増、そして65歳以上の高齢者が266万人増。

 就業者増加の7割が高齢者だ。彼らは引退し、孫と遊ぶ生活を選べたのに、働くことを選んだわけじゃない。年金だけじゃ食べていけないからだ。15歳から24歳の就業者が増えたのは、親が学費を払えず、上の学校に上がるとき奨学金を借りるから。今、大学生の2.7人に1人が奨学金を借りている。学校に通いながらアルバイトしなくちゃならない。

 前出の政府側の意見と、野党側の意見、どちらが正しいか? いわずもがな。でも、いわないと、よりはっきりしちゃうから、マスコミは政府側の言い分をがんばって広げているの?

週刊朝日  2019年4月12日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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